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フランス映画に初のアカデミー作品賞! モノクロ・サイレント映画「アーティスト」が5部門受賞! フランス版アカデミー賞といわれるセザール賞、インディーズのアカデミー賞ことスピリット・アワード、そしてオスカーこと本物のアカデミー賞! 映画「アーティスト」が、1週間にこの3つを制覇する偉業(?)を成し遂げた。
"ようこそハービーウッドへ!" ハリウッドをハービーウッドと読み替えたのはオンライン映画批評家のニッキー・フィンケ。第84回アカデミー賞はまさにハービー・ワインスタインの大勝利だった。「アーティスト」が作品賞、監督賞、主演男優賞など5冠、「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」が主演女優賞とメーキャップ賞、「Undefeated」が長編ドキュメンタリー賞と、8部門がハービー率いるワインスタイン・カンパニーの製作・配給する作品で占められたのだから。しかも作品賞は「英国 王のスピーチ」に続き2年連続の受賞だ。
ミラマックス時代からオスカー受賞に向けてのキャンペーンの徹底ぶりで知られるハービー・ワインスタインだが、まさにその手腕が発揮された(そして多くの業界人がその事実にあらためて辟易したであろう)一夜だった。
本命視されていた「アーティスト」だが、さまざまな記録を打ち立てた。作品賞受賞作としては史上初の"映画をめぐる映画"であり、同じく史上初のフランス映画、第1回アカデミー賞の「つばさ」以来83年ぶりの無声映画、1960年の「アパートの鍵貸します」以来のモノクロ映画(1993年の「シンドラーのリスト」は一部カラー)、12番目の非アメリカ映画などだ(アメリカ映画以外で作品賞を獲ったのは1948年の「ハムレット」に始まり「アラビアのロレンス」「トム ・ジョーンズの冒険」「わが生命つきるとも」「オリバー!」「炎のランナー」「ガンジー」「ラストエンペラー」「イングリッシュ・ペイシェント」「スラムドッグ$ミリオネア」「英国王のスピーチ」と続く。一部アメリカとの合作含む)。
授賞式が始まると5部門ノミネートの「ヒューゴの不思議な発明」が撮影賞など5つのオスカー像を立てつづけに獲り、今日は「アーティスト」の日ではなかったかと思われたが、式典の後半で本命「アーティスト」が主要部門を総なめした。
ロサンゼルス・タイムズ紙がすっぱ抜いた記事によるとアカデミー会員の94%が白人、77%が男性。平均的な年齢は62歳だとか。50歳以下のメンバーはわずか14%しかいない、高齢クラブなのだ。終わってみれば、そんな会員たちがいかにも投票� ��そうな結果となった今年のオスカー。9回目の司会を務めたビリー・クリスタルも歌に司会に安定した腕を見せ楽しかったが、やはり想定内だった(ブラッド・ピットの最初に記憶にある映画が東宝特撮映画「サンダ対ガイラ」というのは意外だったが)。
驚くべきハプニングは授賞式の前、レッドカーペットで起きていた。
それは引用からあなたが死ぬまで私はあなたを殺すだろう次回作「The Dictator」で中東の独裁者を演じるサシャ・バロン・コーエン(「ボラット」「ヒューゴの不思議な発明」)は、その独裁者キャラで授賞式に出席することをアカデミーから禁じられたとかいないとかでマスコミを騒がせていたが、軍服を着て軍人姿の美女を従え"中東の独裁者"らしくレッドカーペットに登場。TV司会者ライアン・シークレストのインタビューに至極まじめに答えていたが突然、抱えていたツボ(金正日によく似た顔が描いてある)から中身の白い粉をシークレストの胸やレッドカーペットにぶちまけたのだ。
タキシードと、レッドカーペットが台無し!
友人の遺灰を持ってきた・・・という態のコーエンのようすは、昨年亡くなったふたりの独裁者、カダフィ大佐と金正日を思い出させるものだった。また「マ� ��はいつもレッドカーペットの取材には必ず服を2着持っていきなさいといってたが、今日わかったよ」というシークレストの言葉も、記憶に値する・・・かも。
その瞬間、シークレストの隣にいたWOWOWリポーターの冨永愛は、いっしょに"遺灰"を浴びて全世界に生中継されるチャンスを逃してしまった。ニュースになり、YouTubeに動画がアップされ、ハリウッドの有力エージェントから電話が殺到・・・したかもしれなかったのに。
このハプニングにハリウッド・リポーター誌電子版の投票では、32%が「おもしろくない」、57%が「爆笑」、12%が「オスカーの偉大な瞬間ではあるが失礼すぎ」と答えていた。
受賞リストは以下のとおり。
作品賞
★「アーティスト」 トーマ・ラングマン
「ファミリー・ツリー」 ジム・バーク、アレクサンダー・ペイン、ジム・テイラー
「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」 スコット・ルーディン
「ヘルプ 心がつなぐストーリー」 ブルンソン・グリーン、クリス・コロンバス、マイケル・バーナサン
「ヒューゴの不思議な発明」 グレアム・キング、マーティン・スコセッシ
「ミッドナイト・イン・パリ」 レティ・アロンソン、スティーブン・テネンバウム
「マネーボール」 マイケル・デ・ルカ、レイチェル・ホロビッツ、ブラッド・ピット
「ツリー・オブ・ライフ」 グラント・ヒル、サラ・グリーン、ディディ・ガードナー、ビル・ポーラッド
「戦火の馬」 スティーブン・スピルバーグ、キャスリーン・ケネディ
主演男優賞
デミアン・ビチル 「明日を継ぐために」
ジョージ・クルーニー 「ファミリー・ツリー」
★ジャン・デュジュルダン 「アーティスト」 (初受賞)
ゲイリー・オールドマン 「裏切りのサーカス」
ブラッド・ピット 「マネーボール」
主演女優賞
グレン・クローズ 「アルバート・ノッブス」
ビオラ・デイビス 「ヘルプ 心がつなぐストーリー」
ルーニー・マーラ 「ドラゴン・タトゥーの女」
★メリル・ストリープ 「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」 (3度目のオスカー。主演女優賞は'83年の「ソフィーの選択」以来2度目)
ミシェル・ウィリアムズ 「マリリン 7日間の恋」
助演男優賞
ケネス・ブラナー 「マリリン 7日間の恋」
ジョナ・ヒル 「マネーボール」
ニック・ノルティ 「Warrior」原題
★クリストファー・プラマー 「人生はビギナーズ」 (初受賞。82歳での受賞は最高齢)
マックス・フォン・シドー 「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」
助演女優賞
ベレニス・ベジョ 「アーティスト」
ジェシカ・チャスティン 「ヘルプ 心がつなぐストーリー」
メリッサ・マッカーシー 「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」
ジャネット・マクティア 「アルバート・ノッブス」
★オクタビア・スペンサー 「ヘルプ 心がつなぐストーリー」 (初受賞)
監督賞
ウディ・アレン 「ミッドナイト・イン・パリ」
★ミシェル・アザナビシウス 「アーティスト」 (初受賞。フランス生まれの監督が受賞したのは'02年「戦場のピアニスト」のロマン・ポランスキー以来)
テレンス・マリック 「ツリー・オブ・ライフ」
アレクサンダー・ペイン 「ファミリー・ツリー」
マーティン・スコセッシ 「ヒューゴの不思議な発明」
オリジナル脚本賞
「別離」 アスガー・ファルハディ
「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」 クリステン・ウィーグ、アニー・マモロ
★「ミッドナイト・イン・パリ」 ウディ・アレン ('77年の「アニー・ホール」、'87年の「ハンナとその姉妹」に続く3度目の脚本賞)
「アーティスト」 ミシェル・アザナビシウス
「マージン・コール」 J・C・チャンダー
脚色賞
「スーパー・チューズデー 正義を売った日」 ジョージ・クルーニー、グラント・ヘスロフ、ボー・ウィリモン
「ヒューゴの不思議な発明」 ジョン・ローガン
「裏切りのサーカス」 ブリジット・オコナー、ピーター・ストローハン
「マネーボール」 スティーブ・ザイリアン、アーロン・ソーキン、スタン・チャービン
★「ファミリー・ツリー」 アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ (ペインは'04年の「サイドウェイ」以来2度目。ほか2人は初受賞)
撮影賞
「アーティスト」 ギョーム・シフマン
「ドラゴン・タトゥーの女」 ジェフ・クローネンウェス
★「ヒューゴの不思議な発明」 ロバート・リチャードソン(過去「JFK」「アビエイター」で受賞)
「ツリー・オブ・ライフ」 エマニュエル・リュベツキ
「戦火の馬」 ヤヌス・カミンスキー
美術賞
「戦火の馬」 リック・カーター(プロダクション・デザイン)、リー・サンデイルス(セット美術)
★「ヒューゴの不思議な発明」 フランチェスカ・ロ・スキァボ(セット美術)、ダンテ・フェレッティ(プロダクション・デザイン) (過去「アビエイター」で受賞)
「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」 ステファニー・マクミラン(セット美術)、スチュアート・クレイグ(プロダクション・デザイン)
「ミッドナイト・イン・パリ」 アン・シーベル(プロダクション・デザイン)、ヘレン・ドゥブロイル(セット美術)
「アーティスト」 ローレンス・ベネット(プロダクション・デザイン)、ロバート・グールド(セット美術)
衣装デザイン賞
「作者不詳」(仮題) リジー・クリストル
★「アーティスト」 マーク・ブリッジス (初受賞)
「ヒューゴの不思議な発明」 サンディ・パウエル
「ジェーン・エア」 マイケル・オコナー
「W.E.」(原題) アリアンヌ・フィリップス
メイクアップ賞
「アルバート・ノッブス」 マーシャル・コーネビル、リン・ジョンストン、マシュー・W・マングル
「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」 ニック・ダドマン、アマンダ・ナイト、リサ・トムブリン
★「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」 マーク・クーリア、J・ロイ・ヘランド (初受賞)
音響録音賞(ミキシング)
「ドラゴン・タトゥーの女」 デビッド・パーカー、マイケル・セマニック、レン・クライス、ボー・パーソン
★「ヒューゴの不思議な発明」 トム・フレイシュマン、ジョン・ミッジリー
「マネーボール」 デブ・アダイール、ロン・ボーカー、デビッド・ジャンマルコ、エド・ノビック
「トランスフォーマー ダークサイド・ムーン」 グレッグ・P・ラッセル、ゲイリー・サマーズ、ジェフリー・J・ハブッシュ、ピーター・J・デブリン
「戦火の馬」 ゲイリー・ライドストロム、アンディ・ネルソン、トム・ジョンソン、スチュアート・ウィルソン
音響編集賞
「ドライブ」 ロン・ベンダー、ビクター・レイ・エニス
「ドラゴン・タトゥーの女」 レン・クライス
★「ヒューゴの不思議な発明」 フィリップ・ストックトン、ユージーン・ギアティ
「トランスフォーマー ダークサイド・ムーン」 イーサン・バン・ダーリン、エリック・エイダール
「戦火の馬」 リチャード・ハイムズ、ゲイリー・ライドストロム
編集賞
★「ドラゴン・タトゥーの女」 アンガス・ウォール、カーク・バクスター (「ソーシャル・ネットワーク」で受賞)
「アーティスト」 アン・ソフィ・ビオン、ミシェル・アザナビシウス
「マネーボール」 クリストファー・テルフセン
「ヒューゴの不思議な発明」 セルマ・ショーンメイカー
「ファミリー・ツリー」 ケビン・テント
視覚効果賞
「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」 ティム・バーク、デビッド・ビッカリー、グレッグ・バトラー、ジョン・リチャードソン
★「ヒューゴの不思議な発明」 ロブ・レガート、ジョス・ウィリアムズ、ベン・グロスマン、アレックス・ヘニング (レガートは「タイタニック」で受賞し2度目。ほかは初受賞)
「リアル・スティール」 エリック・ナッシュ、ジョン・ローゼングラント、ダニー・ゴードン・テイラー、スウェン・ギルバーグ
「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」 ジョー・レッテリ、ダン・レモン、R・クリストファー・ホワイト、ダニエル・バレット
「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」 スコット・ファラー、スコット・ベンザ、マシュー・E・バトラー、ジョン・フレイジャー
長編ドキュメンタリー賞
「Hell and Back Again」 ダンファン・デニス、マイク・ラーナー
「もしもぼくらが木を失ったら」 マーシャル・カリー、サム・カルマン (東京国際映画祭で上映)
「Paradise Lost3: Purgatory」 ジョー・バーリンジャー、ブルース・シノフスキー
「Pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」 ビム・ベンダース、ジァン・ピエロ・リンゲル
★「Undefeated」 ダニエル・リンジー、T・J・マーティン、リチャード・ミドルマス #メンフィスの高校のアメフト・チームが連敗からいかに脱出するか。
長編アニメ賞
「パリ猫の生き方」 アラン・ガニョル、ジャン・ルー・フェリシオリ
「チコとリタ」 フェルナンド・トルエバ、ハビエル・マリスカル
「カンフー・パンダ2」 ジェニファー・ユー
「長ぐつをはいたネコ」 クリス・ミラー
★「ランゴ」 ゴア・バービンスキー監督(初受賞)
作曲賞
「タンタンの冒険 ユニコーン号の冒険」 ジョン・ウィリアムズ
★「アーティスト」 ルドビック・ブールス (初受賞)
「ヒューゴの不思議な発明」 ハワード・ショア
「裏切りのサーカス」 アルベルト・イグレシアス
「戦火の馬」 ジョン・ウィリアムズ
主題歌賞
『Real in Rio』「ブルー 初めての空へ」 作曲カルリーニョス・ブラウン、セルジオ・メンデス、作詞サイーダ・ギャレット
★『Man or Muppet』「ザ・マペッツ」 作詞作曲ブレット・マッケンジー
短編ドキュメンタリー賞
「The Barber of Birmingham: Foot Soldier of the Civil Rights Movement」(原題) ロビン・フライディ、ゲイル・ドルジン
「God Is the Bigger Elvis」(原題) レベッカ・カミサ、ジュリー・アンダーソン
「Incident in New Baghdad」(原題) ジェームズ・スピオーン
★「Saving Face」(原題) ダニエル・ユング監督・製作、シャーミーン・オベイド・チノイ製作 #硫酸などを女性の顔にかける暴行事件がパキスタンで続発。整形手術で顔の復元に挑む医師の姿。
「津波そして桜」 ルーシー・ウォーカー、カイラ・カーステンソン
短編実写映画賞
「Pentecost」」 ピーター・マクドナルド
「Raju」 マックス・ゼール、ステファン・ギーレン
★「The Shore」 テリー・ジョージ監督・製作、オーラー・ジョージ製作 北アイルランド在住のジョージ(「ホテル・ルワンダ」)が政治や争いで揺れる現地の人々の友情を描く。
「Time Freak」 アンドリュー・バウラー、ジジ・コージー
「Tuba Atlantic 」 ホールバー・ウィッツ
短編アニメーション賞
「Dimanche 」 パトリック・ドヨン
★「The Fantastic Flying Books of Mr. Morris Lessmore」 ウィリアム・ジョイス監督・脚本、ブランドン・オルデンバーグ監督 大きな被害を出したハリケーン・カトリーナ、喜劇役者バスター・キートン、「オズの魔法使」、書物への愛に触発されたアニメ。
「La Luna」 エンリコ・カサローサ
「A Morning Stroll」 グラント・オーチャード、スー・ガフェ
「Wild Life」 アマンダ・フォービス、ウェンディ・ティルビー
外国語映画賞
「闇を生きる男」(ベルギー)
「Footnote」(イスラエル)
「ソハの地下水道」(ポーランド)
「ぼくたちのムッシュ・ラザール」(カナダ)
★「別離」(イラン) (イラン映画では初受賞) アスガー・ファルハディ監督 ベルリン3冠ほか世界各地の映画祭で受賞。日本公開4月。アジアフォーカス・福岡国際映画祭では「ナデルとシミン」という仮題で上映。#テヘランで暮らす中流の夫婦と、若い家政婦が直面する困難。
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