第4章 ビジネスに必要な法律の基礎
この章では、ビジネスを展開していく上で必要になる法律に関して、簡単に紹介します。
1.ビジネス関連法の体系
- 【質問】
- 事業を運営するには様々な法律が関係してくると思いますが、どのような法律に留意すべきでしょうか。
ポイント
- (1)会社経営に法律が必要な理由
- (2)会社に関する法律の分類
- (3)業務活動に関する法律例
- (4)会社組織に関する法律例
アンサー
- (1)会社経営に法律が必要な理由
- 我々は一定の秩序の中で社会を形成しなければなりません。各自が好き勝手に振る舞えば他の人の自由や生活が侵害されてしまう可能性が高くなります。人の内面には道徳心が存在し、それが無秩序を防止しているのも事実です。しかしそれだけでは人により、判断基準も異なるため、整理された共通のルールとして法律が、人の財産や権利を守り、秩序を維持するために必要になります。会社も法人として、法律的に人格が認められたものであり、様々な社会的活動を営む上で、法律と密接に関係してきます。
- (2)会社に関する法律の分類
-
会社に関する法律は「業務活動に関する法律」と「会社組織に関する法律」とに分類できます。
次にそれぞれどのような法律を指しているのかについて例示します。
- (3)業務活動に関する法律例
-
活動領域 主な関係法律(及び例) 公法(注1) 私法(注2) 社会法(注3) 労務 税法(所得税、地方税等) 民法、商法 労働基準法、健康保険法、男女雇用機会均等法 財務・経理 税法(法人税、地方税、登録免許税等) 商法、手形・小切手法、不動産登記法、民法 外為法 購買 税法(消費税、印紙税等) 民法、商法 下請代金支払遅延等防止法、独占禁止法 生産・研究開発 特許法、不正競争防止法 公害紛争処理法、環境基本法 販売 税法(消費税、印紙税) 民法、商法 不当景品表示防止法、訪問販売法 - (注1)公法とは、法の規律を受ける当事者のうち、双方または一方が国家機関である場合の法律です。
- (注2)私法とは、法の規律を受ける当事者の双方が私人に適用される場合の法律です。
- (注3)社会法とは、社会の発展に伴い、社会的弱者の保護等、一定の見地から国家の積極的な干渉を根拠づける法律です。
以上、公法、私法、社会法の区分は必ずしも厳密なものではありません。
- (4)会社組織に関する法律例
-
事項 主な関係法律例 設立 商法、民法、商業登記法、各種業法 機関 商法、民法、商業登記法 資金調達 商法、証券取引法、民法、工場抵当法、不動産登記法 計算 商法、証券取引法、法人税法 合併 商法、独占禁止法、商業登記法 倒産 商法、和議法、会社更生法、破産法、商業登記法
- 【アドバイスポイント】
- 会社経営には様々な法律が関係してきます。全てを独力でフォローするのは難しいので、必要に応じて専門家を活用する。
2.株式会社の機関構成
- 【質問】
- 株式会社の機関構成は、なぜ複雑になっているのでしょうか。
ポイント
- (1)株式会社の根本原理(所有と経営の分離)
- (2)機関の分化
アンサー
- (1)株式会社の根本原理(所有と経営の分離)
- 株式会社制度は株式を発行して間接有限責任しか負わない多数の人間から出資を受けることができる法人です。一般的に多くの株主は日常的に集合して会社の運営に当たることは困難であり、また、会社経営を直接行う意思や能力を持たないので、会社経営を合理的に運営するという観点から、所有と経営の分離が行われます。会社の実質的な所有者である株主は、必要最低限のことを株主総会で決定し、会社の運営は他の機関に任せることとなります。
実際にはオーナーが100%出資し、経営に当たるという所有と経営が一致するケースの方が多いと考えられますが、我が国の商法ではこのように上述のような考え方に立ち、所有と経営の分離に備えています。 - (2)機関の分化
- 会社の機関を取締役に任せきりにしてしまうと権限が強大になり過ぎ、権限濫用のおそれが生じます。そこで監査役制度を設け、取締役の業務の執行が確保されることを制度的に準備しています。
また、取締役が、取締役会の機能と代表取締役の機能に分化しています。業務を執行するには複数者の合意が必要ということであれば煩雑になり過ぎるため、代表取締役に業務執行の権限を与えています。しかし、慎重かつ適正な経営の確保の観点から取締役会という合議体を設置し、代表取締役の監督と一定の重要度を持つ意思決定については、取締役会の決定が必要とされています。
■株式会社の根本原理(所有と経営の分離)
■機関の分化
3.契約の成立
- 【質問】
- 口頭での約束しかしていないならば契約は成立したとはいえないと思うのですが、どうでしょうか。
ポイント
- (1)契約とは?
- (2)契約が成立する時点
- (3)契約の成立要件
- (4)契約の有効要件
- (5)代理人との契約
- (6)用語解説
アンサー
誰が七不思議を作成
- [1] 当事者
- [2] 目的
- [3] 意思表示
契約が有効であるための要件は以下のとおりです。これらの条件が整わない場合には契約が無効、または取り消しになることがあります。
- ア.契約の内容が確定していること
- イ.契約の内容が実現可能であること
- ウ.契約の内容が強行法規に反しないこと
- エ.契約の内容が公序良俗に反しないこと
- オ.当事者が意思能力を有すること
- カ.当事者が行為能力を有すること
- キ.意思と表示に不一致がないこと
- ク.意思表示に瑕疵[かし](欠点)がないこと
契約は当事者同士が行うことが基本ですが、第三者が本人に代わって行う場合もあり、これを代理人といいます。
代理人が契約するときには「本人のためにすることを示して」契約することが必要になります。「本人のためにすることを示さないで」した契約は、原則として代理人個人のためにした契約と見なされます。
これに対して、代理人が自らの名前を出さずに直接本人の名前だけを示して契約する場合には、代理人としての権限を有している限り有効な契約とされます。
- [1] 公序良俗
社会的妥当性。人倫に反するもの((例)殺人契約)、正義の観念に反するもの((例)入札における談合契約)等が公序良俗違反とされます。 - [2] 意思能力
法的拘束力の根拠となりうる意思を形成することができる能力。求められる判断能力は行為の内容により、異なります((例)パンを買う場合とマンションを買う場合)。 - [3] 行為能力
意思能力のように、個々具体的局面ごとに意思能力の存否を争う代わりに、一律に法律により資格の有無をあらかじめ明らかにしておくことで相手方の保護を図る制度です。意思能力を欠く可能性の高い未成年者、心神喪失者等は行為能力がないとされます。
4.債務の不履行、不法行為
- 【質問】
- 契約を履行しない(債務の不履行)と、損害賠償の責任を負わなければならないのですか。損害賠償の責任を負うのは債務不履行の時だけですか。
ポイント
- (1)債務不履行とは?
- (2)債務不履行の場合の救済
- (3)不法行為責任とは?
- (4)損害額の算定
- (5)損害賠償の請求
アンサー
- (1)債務不履行?
-
債務不履行とは、債務者が正当な理由がないにも関わらず債務を履行しないことをいいます。債務不履行には3つの形態があります。
- [1] 履行遅滞
契約期限を過ぎているにも関わらず、債務を履行していない場合 - [2] 不完全履行
契約期限は守ったものの、完全な形で債務を履行していない場合 - [3] 履行不能
契約の期限に関係なく、債務の履行ができなくなった場合
- [1] 履行遅滞
- (2)債務不履行の場合の救済
-
債務不履行に対する債権者の救済手段は次のとおりです。
- [1] 強制履行
債務の履行を強制できるものに限ります。履行不能の場合には適用できません。 - [2] 損害賠償
債務不履行により債権者に損害が生じたとき。特に履行不能の場合には、本来の債権は損害賠償債権に転化します。 - [3] 契約解除
この場合には債務は消滅します。
- [1] 強制履行
- (3)不法行為責任とは?
-
契約関係にない相手に交通事故や暴力等により、損害を与えた場合の責任のことをいいます。この場合にも損害賠償をする責任が生じます。
不法行為責任が成立するためには以下の要件があります。- [1] 故意または過失があること(損害が発生するのを知りながら、敢えてある行為をすること、または社会的に通常要求される程度の注意を欠くこと)。
- [2] 他人の権利を侵害したこと
- [3] 損害が発生し、加害行為と損害との間に因果関係が認められること。
- (4)損害額の算定
-
損害賠償額は次の点を考慮しながら算定されます。
- [1] 加害者の故意過失等の程度
- [2] 被害者の過失の有無及びその程度
- [3] 加害者の違法性
- [4] 被害の程度 等
- (5)損害賠償の請求
-
損害が発生した場合、損害を被った被害者側の方から加害者に対して損害賠償を請求するのが通常です。
損害を被ったときに損害賠償が請求できるためにはいつ、誰がどういう状況で損害を与えたかという事実関係を整理することが重要になります。
そして損害額を算定し、請求書を加害者側に送付します。後日の裁判が想定される場合には内容証明郵便で送付しておくと後々役立ちます。もし、請求に相手方が応じない場合には請求をあきらめるか、裁判で争うことになります。
5.印章管理
- 【質問】
- 会社の印鑑は大事だから適切に管理しなければいけないといわれていますが、それはなぜでしょうか。
ポイント
- (1)印鑑の種類−実印、認印
- (2)契約の成立
- (3)契約の証拠力
- (4)捺印された契約書
- (5)実印と認印の効力
- (6)印鑑が大事な事例
アンサー
- (1)印鑑の種類−実印、認印
-
- [1] 実印
実印とは、「個人においては市区町村役場、法人においては法務局に届け出て印鑑証明書をもらうことができる印鑑」のことです。 - [2] 認印
実印以外の印鑑のことをいいます。
- [1] 実印
- (2)契約の成立
- 契約は双方意思の合致により成立します。
- (3)契約の証拠力
-
契約の成立は本来特別の形はなく、契約の成立要件が満たされていれば契約は成立します。文書・口頭・電話による合意(意思の合致)も、すべて契約として認められます。
しかし、契約が存在すること、契約の内容がどのようなものであるのかについて、後に確認できるように、契約内容を書面にしておくことが一般的です。契約書には署名(あるいは記名)捺印するのが一般的です。
- (4)捺印された契約書
- 元々、契約を書面にするのは契約の存在と、契約内容についての合意の証拠とするためです。従って、会社の印鑑が勝手に押されてしまっている契約書が存在すると、その契約書を有している相手方に対して対抗できにくくなってしまいます。すなわち、盗用等で捺印されていたとしても、その捺印を信じた契約の相手方を保護するために、契約の履行を迫られてしまう可能性が高くなってしまいます。
- (5)実印と認印の効力
-
法的には認印であろうと実印であろうと契約は有効になります。ただし、ゴム印やスタンプ印、本人の名前と関係のない文字や記号でできている印は認められていません。それ以外であれば、実印でも、認印でも、判を押した本人を示し、本人が契約したことを証明する手だてになります。従って、認印だからといって、粗略な取扱はできません。ただし、実印の方が証拠力は高いとはいえるでしょう。
また、実印だけしか使用が認められないケースも存在します(登記申請や公正証書作成等のケース)。
- (6)印鑑が大事な事例
-
預金通帳と印鑑を盗んだ泥棒が銀行に持っていき、預金を引き出した場合。
後日預金通帳と印鑑がなくなっていることに気づいた真の預金者は、銀行に対してその旨知らせましたが、すでに預金は引き出されてしまっています。銀行に「それは盗まれたものだから自分に対してもう一度支払ってください。」と申し入れたとしたら銀行はそうする義務があるでしょうか。
この場合、銀行が本来ならば盗まれたものであると気づくべきだったのに気づかずに支払ってしまったのでない限り、銀行の支払は有効であり、真の預金者に対して再度支払う必要はありません。預金通帳と印鑑を所持して引き出しの請求をしてきた泥棒は、預金者としての外観を備えており、その者に対して支払ったのであるので有効な支払とされます。
誰がスペースでアメリカ初の先駆者でしたか?
これは、通常、預金通帳と印鑑を所持するものが預金者であること、たとえその者が真の預金者でなかったとしても、真の預金者と信じて預金を払い戻した銀行を保護すべきであると考えられることによります。預金通帳と印鑑を持参した人間に対して、本人確認をその都度必要であるとした場合には、煩雑な手続きが必要になってしまい、迅速な取引が阻害されてしまうためです。
- 【アドバイスポイント】
- 契約書等に紛失等した印が押されていたとしても、契約の相手方を保護するために契約の履行を求められることもある。
6.手形受領時の留意事項
- 【質問】
- 手形を受け取るときの留意事項は何でしょうか。
ポイント
- (1)手形受け取り時に最低限チェックすべき事項
- (2)手形要件のチェック
- (3)統一手形用紙
- (4)受取手形の例
- (5)手形要件のチェックポイント
アンサー
- (1)手形受け取り時に最低限チェックすべき事項
-
手形受領時には下記事項を最低限チェックする必要があります。
- [1] 手形要件を具備している(銀行で支払を受ける条件を満たしている)。
- [2] 印紙税法上の印紙を貼り付けている。
- [3] 不渡りになる可能性が小さい(発行会社が支払い能力を有している)。
ここでは(1)の手形要件について解説します。
- (2)手形要件のチェック
- 手形要件が欠けていると無効になってしまうことがあります。従って、手形を受領するときには手形要件を具備しているかについての確認が必要です。
- (3)統一手形用紙
- 手形法上はどのような用紙に記載すべきかについての記載はありません。しかし、統一手形用紙制度がとられ、銀行が支払う手形については、金融機関が交付した統一手形用紙を使用したものに限られています。従って、銀行で支払を受けるためには統一手形用紙を使用していなければならず、この用紙が利用されているという前提で以下の説明をしていきます。
- (4)受取手形の例
- (5)手形要件のチェックポイント
- 【アドバイスポイント】
- 手形要件の他、裏書きの連続性等の確認、日頃の与信管理も重要。
7.小切手受領時の留意事項
- 【質問】
- 小切手を受け取るときの留意事項は何でしょうか。
ポイント
- (1)小切手受け取り時に最低限チェックすべき事項
- (2)統一手形用紙
- (3)小切手の例
- (4)小切手要件のチェックポイント
アンサー
- (1)小切手受け取り時に最低限チェックすべき事項
- 小切手要件が欠けていると無効となってしまうことがあるので、小切手受領時には小切手が一定の要件を満たしている有効なものであるか最低限チェックをする必要があります。
- (2)統一手形用紙
- 小切手法上はどのような用紙に記載すべきかについての記載はありません。しかし、統一手形用紙制度がとられ、銀行が支払う小切手については、金融機関が交付した統一小切手用紙を使用したものに限定することになっています。従って、銀行で支払を受けるためには統一小切手用紙を使用していなければならず、この用紙が利用されているという前提で以下の説明をしていきます。
参考…線引小切手
小切手に2本の平行線が引かれ、「銀行」、「Bank」、「銀行渡り」等の文言が挿入されていることが多くみられ、安全性が高まります。 - (3)小切手の例
- (4)小切手要件のチェックポイント
- 【アドバイスポイント】
- 受け取った小切手は、事故防止のためにもできるだけ速やかに金融機関を経由して取り立てること。
8.少額訴訟手続き制度
- 【質問】
- 売掛金の支払いをなかなかしてくれない取引先があるのですが、少額訴訟制度の利用方法を教えてください。
ポイント
- (1)少額訴訟手続き制度とは?
- (2)少額訴訟の対象
- (3)少額訴訟手続きの特徴
- (4)乱訴の防止
- (5)自分で少額訴訟を行う場合の訴訟費用
- (6)少額訴訟手続きの流れ
アンサー
- (1)少額訴訟手続き制度とは?
-
訴訟に時間と費用がかかると小口の債権は裁判手続きに乗せることができず、弁済が滞っている場合でも債権者が泣き寝入りするケースが多くなってしまいます。
そこで「30万円以下の金銭支払い請求」に限り、簡易裁判所で比較的簡単に手続きがとれる少額訴訟手続き制度があります。簡易な訴訟手続きを利用することにより、迅速かつ円滑な債権回収が行われる可能性が高まります。
- (2)少額訴訟の対象
- 少額訴訟の対象になるのは、訴額30万円以下の金銭であれば売買代金請求、請負代金請求、家賃請求、労働代金請求、不法行為の損害賠償請求、製造物責任請求等、あらゆる金銭債権に利用できます。
- (3)少額訴訟手続きの特徴
- 少額訴訟手続きの大きな特徴は、特別の事情がない限り、口頭弁論期日で終了する、一期日審理の原則にあります。判決の言い渡しも、原則として口頭弁論終結後直ちに行われます。その実現のために様々な角度からの審理の簡易化が実施されています。
- (4)乱訴の防止
- 少額訴訟は消費者金融等が濫用することを防止するために1年間に10回までしか利用できないことになっています。
- (5)自分で少額訴訟を行う場合の訴訟費用
-
裁判所に郵便切手代(4,000円程度)と申立手数料を納付する必要があります。これらの費用は、勝訴すれば被告の負担とすることができます。
請求金額 申立手数料(印紙代) 5万円まで 500円 10万円まで 1,000円 15万円まで 1,500円 20万円まで 2,000円 25万円まで 2,500円 30万円まで 3,000円 - (6)少額訴訟手続きの流れ
9.知的財産権
- 【質問】
- 知的財産権の概要について教えてください。
ポイント
- (1)著作権
- (2)特許権
- (3)実用新案権
- (4)意匠権
- (5)商標権
- (6)各知的財産権の比較
アンサー
- (1)著作権
-
- [1] 著作権の対象となる著作物
著作権の保護の対象となる著作物は「思想または感情を創作的に表現した者であって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」です。ただし、コンピュータプログラムやデータベースの一部も保護の対象になります。 - [2] 著作者の権利
著作者の権利は次のようになっています。
- [1] 著作権の対象となる著作物
どのようにナポレオンはフランスの指導者になった
名称 | 知的財産権 | ||||
---|---|---|---|---|---|
著作権 | 工業所有権 | ||||
特許権 | 実用新案権 | 意匠権 | 商標権 | ||
所轄官庁 | 文化庁(文部省系) | 特許庁(通商産業省系) | |||
権利発生要件 | 出願不要 | 特許庁に出願し、登録される必要あり | |||
権利発生時期 | 著作物を創作したとき | 特許庁に登録されたとき | |||
権利の及ぶ範囲 | 条約加盟国全て | 原則として日本のみ | |||
権利存続期間 | 原則著作者死後50年間 | 出願の日から20年間 | 原則出願の日から6年間 | 登録の日から15年間 | 登録の日から10年間。ただし、更新が可能 |
公表・公開と登録 | 公表をするかしないかは著作者の自由。ただし公表時期が権利の発生時期に影響。 | 出願の日から1年6ヶ月で公開 | 実質的な審査を伴わずに登録 | 出願されると直ちに審査され、登録または登録拒絶 | 出願されると直ちに審査され、登録または登録拒絶 |
審査請求による審査後、登録または登録拒絶 |
- 【アドバイスポイント】
- 登録費用は数万円程度だが、それ以外にも諸経費がかかるので、必要に応じて知的所有権センター等に問い合わせてみる。
10.製造物責任法(PL法)
- 【質問】
- 製造物責任法(PL法)とはどのような法律でしょうか。
ポイント
- (1)製造物責任とは?
- (2)製造物責任法の内容
- (3)製造物責任法制定の背景
アンサー
- (1)製造物責任とは?
- 企業が製造・販売した商品に欠陥があり、その欠陥が原因で消費者等に損害が発生した場合、商品の製造・販売した者に責任を負わせる考え方を製造物責任(Product Liability)といいます。
- (2)製造物責任法の内容
-
製造物責任法は、(1)法の目的、(2)用語の定義、(3)製造物責任、(4)免責事由、(5)責任追及期間の制限、(6)民法の適用からなります。
製造物に欠陥があり、これにより損害を受けた被害者は、製造者の故意過失の有無を問わず、製造物の欠陥により損害を受けたことを立証すれば原則として損害賠償責任を追及できる内容になっています。
- [1] 製造物の意味、範囲
製造物責任法の対象となる「製造物」とは、「製造または加工された動産」と定義されています。従って、未加工の農林水産物や鉱物は、対象にはなりません。また、土地・建物などの不動産やサービスも本法の対象にはなりません。 - [2] 「欠陥」の意味
製造物の欠陥とは、製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいい、安全性は、- ア.製造物の特性
- イ.通常予見できる使用形態
- ウ.製造業者が当該製造物を引き渡した時期
等を考慮して判断されます。また、製造物の欠陥には次の3つの形態があります。
- ア.設計上の欠陥
- イ.製造上の欠陥
- ウ.指示・警告上の欠陥
- [3] 責任を負う製造業者等の範囲
製造物責任法上の製造業者等は次の3つを指します。
- ア.当該製造物を業として製造、加工または輸入した者
- イ.製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示をした者、または当該製造物にその製造業者として誤認させるような表示をした者
- ウ.当該製造物の製造、加工、輸入または販売その他の事情から当該製造物にその実質的な製造業者と認めることのできる表示をした者
- [4] 製造物責任の対象となる「損害」
製造物責任法は、製造物の欠陥によって人の生命、身体、または財産に被害が発生したときに製造業者等に損害賠償責任が生じる旨規定しています。
- [1] 製造物の意味、範囲
- (3)製造物責任法制定の背景
-
製造物責任法の制定以前は、消費者が製造物から生じた損害に対して製造者に対して責任を追及する手段は、主として民法第709条の不法行為責任の規定でした。
不法行為責任を追及する場合には、製造物の欠陥から損害を受けたということのみならず、製造業者の故意または過失の存在を証明する必要がありました。ところが、専門的・技術的知識を持たない消費者にとって製造者の故意過失の証明は困難で、実質的に利用できないものでした。これでは消費者の保護には、不十分であるということで制定されたのが製造物責任法です。
- 【アドバイスポイント】
-
製造物責任法に対応するためには次の点に注意する必要がある。
- (1) 開発から販売まで全社的に欠陥防止のために努めること
- (2) 製造物の安全確保のための指示・警告に不備がないか検討すること
- (3) 社外(専門家や消費者)の意見に注意すること
特に(2)は、本来の目的以外の使用のされ方を想定して、警告表示を行うなど万全を期すことが重要。
11.消費者保護法
- 【質問】
- 消費者を保護するための法律にはどのようなものがありますか。
ポイント
- (1)消費者保護法とは?
- (2)消費者保護法の体系
- (3)消費者保護法が制定される理由
- (4)割賦販売法
- (5)割賦販売法上のクーリングオフ制度
- (6)消費者保護と業法
アンサー
- (1)消費者保護法とは?
- 消費者保護法とは、消費者の保護を目的として企業と消費者の取引に関して企業活動を規制する内容の法律をいいます。
- (2)消費者保護法の体系
-
消費者を保護するための法律の体系は次のようになっています。また、法律だけでなく、各地方の実態に応じた各種の消費者保護条例も制定されており、それらの検討も必要になります。
割賦販売法では、割賦販売業者に対して現金販売価格、割賦販売価格等の割賦販売条件を書面にて記載し、購入者に対して交付することを義務付けています。
また、一定の場合には購入者が契約申し込みの取り消しあるいはクーリングオフできることを規定しています。
購入者が一定の条件の下に、当該契約の申し込みの撤回、または契約の解除ができる制度です。以下の要件を満たすことが必要です。
- [1] 割賦販売業者の「営業所等」以外の場所における割賦販売取引であること
- [2] 取引対象が指定商品であること
- [3] 一定の期間内であること
電気・ガス、金融等公共性が認められる事業を営もうとする場合には、各業法の定めにより、所轄官庁から免許、許可を取得しなければなりません。これは、人々の日常生活に密接に関わりを持った業務であるため、事業運営に関して一定以上の能力を有する企業のみに営業することを許可し、また、継続的に業務を監督していくためです。
イトーヨーカ堂が銀行業に参入するということで免許を申請した際にも、免許交付の審査の過程で、一般事業会社が銀行を営むと、預金者等から集めた資金を一般事業に流用してしまうのではないかという観点からの審査がなされていたと言われています。
12.不動産購入時の留意事項
- 【質問】
- 不動産を購入する場合の留意事項は何でしょうか。
ポイント
- (1)不動産売買の留意事項
- (2)不動産登記制度とは?
- (3)不動産購入の際のチェックポイント
- (4)不動産登記の効力
アンサー
- (1)不動産売買の留意事項
-
不動産の売買には次のような事項を考慮する必要があります。
- (2)不動産登記制度とは?
-
不動産は所有者と利用者が相違したり、担保の設定がされたりと権利関係が複雑であることが多く、また、一般的に高額であることから不動産取引の安全性を図るために、不動産の権利関係を公示する制度です。
不動産の取得に際しては権利関係の確認をするため、また、取得後の対抗要件として登記をする等のため、不動産を売買する場合には不動産登記簿を利用することが不可欠です。
- (3)不動産購入の際のチェックポイント
-
記載事項 留意事項 表題部 物件を特定するための事項 物件所在地
地目
面積
登記日付甲区 所有権に関する事項 売主と記載の所有権者が同一か差押、仮差押、仮処分等の記載がないか 乙区 所有権以外の権利に関する事項 用役権(地上権、賃借権等)、担保物件(抵当権、根抵当権等)の設定がないか設定がある場合にはそれらの設定を解除することができるか - (4)不動産登記の効力
-
登記によって公示されている権利関係が真実でない場合があります。このような場合に登記を信頼して登記簿に記載されている者を真の所有者と考えてその者と売買契約を結んでも、原則としてその不動産を入手することはできません。
このように、登記上の名義人を権利者として信じて取引をしてもその者が真の権利者でない場合には法律上保護されず、このことを「登記には公信力がない」といいます。
登記の際に登記所の登記官は提出書類に不備がないかのチェックはしますが、権利関係の実態把握の調査までしないため、登記と実態が異なることがありえます。従って、登記の盲信は回避しなければなりません。
- 【アドバイスポイント】
- 不動産の所有は、固定資産税等がかかる上、評価額の変動リスク、資金の固定化等デメリットも大きいので、まず賃貸や自宅の活用を検討するようにする。
13.近年重要となっている法律
- 【質問】
- 近年重要となっている法律は何でしょうか
ポイント
- (1)消費者契約法
- (2)電子化関連の法律
- (3)環境関連法
アンサー
- (1)消費者契約法
-
(主要ポイント)
- [1] 位置づけ
消費者契約法は、民法と商法の特別法として、位置づけられている。 - [2] 目的
消費者契約における契約過程及び、内容の適正化を図ることにより、消費者利益を確保し、国民の消費生活の安定及び、向上に資することを目的とする。 - [3] 対象
消費者(個人)が事業者と締結した契約の全てを対象としている。 - [4] 契約の取り消しの内容
消費者は、事業者の不適切な行為(不実告知・断定的判断・故意の不告知・不退去・監禁)により、自由な意思決定が妨げられたことによって結んだ契約を取り消すことができる。
※詳しくは、内閣府・「消費者の窓」ホームページ(
- [1] 位置づけ
- (2)電子商取引関連の法律
-
- [1] 特定商取引法(旧訪問販売法)
インターネット通販において、政令で指定されている商品を通信販売する場合、申し込みを受けるための画面について「パソコンの誤操作等による消費者トラブルを防止するため、申し込みに関し、わかりやすい画面表示を行う」ことが義務付けられています。(例えばあるボタンをクリックすればそれが有料申込みとなることを明示していなかったり、申込みの際に申込みの内容を確認、訂正できるように措置していないなど、顧客に誤認を生じさせやすい画面設定は行政処分の対象となります。) - [2] 電子消費者契約法
インターネット通販において、通販会社が消費者に対し確認画面を表示していない場合、消費者が操作ミスによる重大な過失を犯した(民法第95条)としても、それを根拠に反論できなくなります。したがって、「特定商取引法」に則ってわかりやすい確認画面を表示しておく必要があります。
また、離れた者同士の契約、すなわち通信販売の場合契約の成立時期は、消費者からの申し込みに対しそれを受ける旨、つまり「承諾の意思を発したとき」とされています。(民法526条)しかし、電子商取引の場合は、郵便などとは異なり瞬時に意思が到達するので、「承諾の意思が到達したとき」を契約成立とすることになりました。消費者から電子メールで注文を受け、それに対し「申し込みを承諾する旨」の電子メ� ��ルを送信した場合、そのメールが消費者側のメールサーバーに到達した時点で契約は成立することになります。
※詳しくは、経済産業省ホームページ(
- [1] 特定商取引法(旧訪問販売法)
- (3)環境関連法
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世界的に環境対策が求められている現在、日本においても環境関連法が次々に施行される等、環境問題への取り組みが求められています。
また、中小企業といえども環境対策への取り組みが不可欠となっています。
環境に関する法律には、循環型社会形成推進基本法、関連7法(グリーン購入法、食品リサイクル法、建設リサイクル法、容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、資源有効利用促進法、廃棄物処理法)があります。
※全国商工会連合会では、環境に関する情報提供サイト「環境対策支援情報」を全国連のホームページ「コンパスクラブ」(
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